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ミラクル相続税対策

同族会社に借地権を設定させることで過大な所得税を回避する場合、地主さんが相続税対策を考える時期と思われた場合に不動産管理会社における「無償返還届出方式」の借地権設定から相続に強い「権利金寄付方式」の借地権設定への変更をお勧めします。現在、地主さんが所有する賃貸建物所有権を身内による同族会社として設立した不動産管理会社に移転し、土地利用権としての借地権については「土地の無償返還届出書」を連名で税務署に提出する手法で設定することが多く行われていますが実は無償返還届出方式は権利面でも経済面でも相続に弱い方式なのです。
(ア) 個人地主の場合、所得税や住民税が累進課税で高額となり、この収入の蓄積が同時に相続財産ともなっており高い相続税が課税される原因ともなります。この所得を管理会社に移転し税率区分の低い家族(株主、役員)への移転が可能です。家賃収入が家族等に配当されれば税として流失してきた所得の配分が大幅に改善できます。
(イ)  法人に家賃収入を移転させると欠損金の繰り越しや給与所得控除、退職金制度の活用が可能となり説税対策として有効です。又、個人地主が会社に貸し付けた金額を会社が長期分割払いすることで相続発生と共に相続人である子供の口座に振り返られることとなり、自らの老後の生活費に当てることも可能となります。不動産資産を守ることは子や孫の安定した生活を守ることであり無償変換方式は借地契約30年としても10年目で相続が発生すれば借地契約は途切れるので相続人が更新に応じるか否かは疑問です。このことは管理会社の存続の問題ともなります。これに対し権利金支払方式は相続人が残りの契約期間を引き継ぎ更新についても原則更新されます。言い換えれば権利金方式は土地の切り売り方式とも見なせるのです。管理会社の株主役員を世襲することは同族会社ならば一般に行われていることです。
A.無償返還届出方式は相続に弱い
借地権を設定する手法として無償返還届出書を土地所有者と管理会社が連名で税務署に提出するやり方を採れば、権利金を支払う必要はなく相当地代(自用地価格の6%)の支払いも必要ありません。地代は当事者間の合意地代で構わないため安上がりで現在この手法が大多数を占めています。但し無償返還届出によるやり方は当該地主1代のみの契約で契約期間の終了及び地主の死亡で契約は終了します。但し相続人との合意が出来れば契約更新は可能です。相続税は自用地の80%で、地主が管理会社の株主となっていれば更に自用地の20%の価値が地主の株価に加算されます。
1. 前提条件
土地時価;4億8千万円、相続税路線価4億円、路線価の借地権割合60%の条件で、地代を底地価格の6%程度の通常地代を年額支払地代と設定します、((4億円×40%)×6%=960万円)。この場合、地主が個人ならば相当地代(4億円×6%=2,400万円)と支払地代960万円の差額は債務免除され認定課税はされません。
しかし差額地代相当額は債務免除されているため損金計上できず、所得として残り課税対象となることから、実質的には差額地代は課税されたことと同じになるとされています。
2. ミラクル相続税対策
無無償返還届出方式では借地権はゼロ評価です。但し権利金支払いの慣習がない地域では相続時の土地評価が自用地の80%評価されることとの調整から権利金の授受に関係なく80%評価となりますが、地主が管理会社の株主ならば自用地の20%が株価に加算されることで地主が株を保有せず会社経営にも関与しないケースがよく見られます。
尚、権利金寄付方式では地主が株主か否かは関係なく、権利金の寄付により会社が受贈益を計上することにより会社の株価が上昇すれば上昇分につき、地主が他の株主に対して贈与を行ったとみなされます。受贈益は会社の欠損金と相殺できるため欠損金がある場合に有効な手法と云われています。不動産鑑定士の評価により権利金の額が減額されれば当然に課税額も減少しますので欠損金と鑑定評価とのダブル効果で課税額は大きく減少しますが、更に貯蓄型政務委保険の利用で損金を更に増やせるためトリプル減税効果を図ればミラクル相続税対策が可能となります。又、当該受贈益課税に係る税額分は地主が金融機関から借り入れ、会社に貸し付ければ相続の際、底地となった土地価額から更に借入金残高を負債として控除可能です。底地についても不動産鑑定評価で国税の相続税路線価や借地権割合に拘束されることなく市場実態に即した安めの評価が可能ですので、負債の控除と鑑定評価の適用のダブル減額で相続税額もゼロとなる可能性が高くなります。
B.両方式の主な相違点
権利金寄付方式 無償返還届出方式 備 考
権利金支払額 公示価格(時価)×
借地権割合(60%) 支払なし 不動産鑑定評価で市場時価評価が可能。権利金の一部支払があれば無償返還土届出の申請は不可。
支払地代 通常地代
(当事者間の合意地代) 通常地代
当事者間の合意地代) 使用貸借と見られる安い地代は問題あり。
地主(個人)
課税 課税なし 課税なし 個人所得税では未収入の場合は課税されない。
借地人(法人)課税 課税なし
地代が安い場合でも地主が個人なら債務免除される。借地権設定につき受贈益を計上すれば会社には法人税が、株主には株価増加分が贈与税の対象となる。 課税なし
相当地代と支払地代との差額は受贈益として認定課税されるはずだが差額は免除される。
債務免除された額は損金計上できず所得として残るため損益通算課税されると説明されている。 個人地主の場合で、法人借地人が権利金を支払い借地権設定した場合でも実際支払賃料分しか損金扱いされず相当地代との差額は無償返還方式と同様課税対象となるから無償返還届出方式による差額地代免除の理由には問題が残る。
相続時の地主(個人)の土地評価 底地評価
(相続税路線価では、1-借地権割合) 自用地の80%評価、但し地主が同族会社の株主なら自用地価値の20%を
会社の純資産価額に加算する。 不動産鑑定評価で市場実態に即した時価評価が可能。
契約更新 借地借家法で保護されており重大な債務不履行がない限り更新。 地主に無償で借地権を返還する条件の契約がされている。地主の同意なしには更新不可。 無償返還届出は行政通達によるが借地借家法では適用外とされ具体的判例なし。
借地権の転売 地主が転売を認めなければ裁判所の同意を得ることとなるが地主に正当事由(信頼関係の破壊)がなければ更新される。 借地権の価値はゼロのため土地売り払額の全部を地主が受け取る。仮に土地価額の20%を借地人が受け取れば、地主からの贈与となり借地人側には贈与税課税が発生する 相続税では地主が同族会社の株主でなければ土地価額の20%は加算されない。これは借地権が発生しているためではなく借地権価値ゼロであるためであう。

C.権利金寄付方式による借地権設定
1.権利金方式への変更
(1) 不動産鑑定評価書の適用
仮に所有する複数の賃貸マンションの土地総額(公示価格ベース)10億円、相続税路線価8億円、借地権割合60%(相続税路線価)の現状の下、無償返還届出方式から権利金贈与方式に変更するとします。賃貸マンションは収益価格を標準とする不動産なので不動産鑑定評価の適用により借地権価格が10億円×60%=6億円でなく4億8千万円で評価されたとします。4億8千万円が借地権設定のための権利金額となります。
 地主(父親)が管理会社(息子が社長)に無償で借地権を設定させます。権利金の寄付となりますが地主には所得がないため課税されません。会社には4億8千万円の受贈益が発生し、仮に法人税率を32%とすれば他に会社に欠損金が無ければ1億6,000万円の受贈益課税(法人税)が課せられます。土地価格が高ければ受贈益課税額も高くなり寄付されても課税額を調達することさえ難しくなります。受贈益は会社に欠損金があればこれ相殺されますが管理会社に多額の欠損金は通常はつくれません。合法的に欠損金をつくることで借地権形態を相続に弱い無償返還届け出方式から相続に強い権利金方式に変更することを提案します。
(2) 相当地代の適用
無償返還届出方式が多く採用されたのは高額な権利金が不要且つ、地代は固定資産税の3倍程度でも構わない。地主が個人ならば相当地代と支払地代との差額は課税が免除されるという安上がりで借地権が設定できるためです。本件では発想を逆転させ、自用地の6%という相当地代を支払います。地代変更は税務署への届け出は不要です。相当地代は相続税路線価ベースで8億円×6%=4,800万円(年間)ですが地代は損金扱いされます。5年間では2億4千万円で同額が損金となります。我が国の中小企業の多くは赤字決算となっています。この状況での2億4千万円① は受贈益と同額で相殺により受贈益はゼロとなってしまいます。
(3) 生命保険の適用
貯蓄性の高い養老保険等がありますが最高裁判例で法人契約の養老保険で死亡保険金受取人が法人で、満期保険金受取を役員とするケースで、支払保険金の1/2を役員報酬(役員については給与として課税)と見なし損金処理し、他の1/2を保険料として損金処理したことに付き、一時所得の課税額計算に当たり、受取保険金額から控除できるのは個人が負担したと思える部分のみとされました。1億円の受取金で5千万円を給与として払い込んだならば、(1億円-5千万円-50万円)×1/2の額に対して所得税率が適用され法人は給与を損金扱いできるため、1/2の保険金が支払保険金として損金処理できることに合わせ、全額が損金扱いできます。
 会社から地主に支払われた年間4,800万円をそのまま5年積立の当該スキームの養老保険に加入すれば4,800万円を×5年=2億4千万円② が損金処理できます。支払地代と支払保険金との損金合計額①+②は4億8千万円で、この額が管理会社の欠損金です。
先に権利金受贈益が4億8千万円だったのでその差額2千万円が課税対象となり32%の法人税率ならば640万円が課税額です。更に他に9年間通算での損金が2千万円以上あれば課税額ゼロとなります。この際、支払地代2億4千万を地主が金融機関から借り入れ調達すれば相続財産から控除され、相続税がほぼゼロとなり、更に金融機関からの借入金は満期保険金で返済できることから本件はまさにミラクル相続税対策と云えます。
(4) 相続税はどうなる。
相続税は8億円(相続税路線価)×40%(底地割合)=3億2千万円ですが、底地は地代徴収額を基礎とするため収益価格が標準とされます。ここで鑑定評価により40%(底地割合)を30%程度と評価されれば2億4千万円が評価額となります。被相続人である地主の金融機関からの借入金2億4千万円と相殺すれば相続税額はゼロとなります。
これに対し無償返還届け出方式で何ら相続税対策を施さなかった場合、(地主が会社の株主となっていなければ)8億円×80%=6億4千万円が課税標準額となり、6億4千万円×55%- 7,200万円=2億8千万円が相続税課税額となります。
(5) 不動産鑑定評価により土地価額を下げ、借入金で相当地代を支払うことで損金を計上し、更に受取地代をそのまま保険積立金に回せばダブルで欠損金が計上でき、受贈益課税が著しく減額されます。借り入れ負債額は満期保険金で返済できるので相続税対策を行わなかったことで生じる課税額2億8千万円に比べ大変な違いとなります。
 無償返還届出方式の場合、仮に相続税を生命保険で支払うとすれば年齢制限や個人保険での支払額上限の制約があり、法人保険加入で地主が会社役員(株主)となれば土地価格の20%が地主株に加算されることとなりますが、権利金方式では受贈益計上により株価が上昇した場合の贈与税問題はありますが、本件では株価上昇の影響は殆ど無視できます。
2. 課税に係る留意点
(1) 不動産鑑定評価の問題点
鑑定評価報酬は評価額が高いほど評価額も比例して高くなるようになっているため、相続税路線価格に近い価格を出せば税務署から否認されるリスクも少なく且つ報酬も多く取れるのです。不動産評価額が低いほど税額が低くなり利益が大きくなる依頼者とは利益相反の関係にあります。相続に係る土地評価を不動産鑑定士が行い安い価額が査定されることを国税当局は快く思いませんが当社は20年以上相続に係る評価を行ってきました。相続税路線価に近い評価を行うことは誰でも出来ますが依頼者の期待に応え得る評価はどの部分を突けば良いか等のノウハウを有していなければ出来ません。常に国税当局と訴訟となった場合の対応が出来る評価書の作成が求められるのです。
(2) 支払地代の問題点
地主が無償で借地権を設定させれば個人地主には所得が発生せず所得税はゼロ、法人には権利金の寄付額に対応して受贈益課税が発生します。この場合、法人は地主に支払う地代を相当地代まで引き上げ地代損金を多く計上すると同時に、地主に支払った地代全額を地主から借入れ、保険料の全額が損金処理されるタイプの養老等保険の積立金に当てれば支払地代額の2倍が欠損金となり、保険満期期間が5年ならば欠損金合計額は実に4億8千万円((4,800万円×2)×5年)となります。我が国では同族会社等の多くが赤字と黒字を繰り返す決算状況ですから支払地代と積立保険とで生じる損金はそのまま法人の欠損金となる可能性が高いのです。
 更に不動産鑑定評価により土地価値を下げられるならば受贈益の減少(4億8千万円-4億8千万円)につながり、欠損金(9年間通算分)との相殺により受贈益課税額はゼロに近づきます。
保険満期期間5年間分に当たる支払地代は地主が金融機関から借入れ管理会社に貸し付けることで地主に2億4千万円の負債が生じ相続財産から控除することで相続税負担は著しくん軽減されます。
3.本件相続対策に係る問題点
相続税に関しては、土地が底地となるため底地額を借入負債額で相殺し、相殺しきれないならば更に不動産鑑定評価で土地価値の減額の可能性を図ります。
本件の場合、相続税ベースでの土地価額8億円×30%(鑑定評価に依る底地割合)=2億4千万円ですから、地主借入負債額と不動産鑑定評価とのダブル効果で相続税はゼロとなるはずです。更に金融機関からの借入金額2億4千万円は満期保険金で返済することとなるため相続不動産資産を守る究極の借地権を取得すると同時に、何らの相続税対策を施さない場合の課税額2億8千万円に比べ(6億4千万円(自用地額の80%)×55%-7,200万円)、遙かに少ない金額で目的を達成できることとなります。但し、本件では以下の問題点が内蔵していることを理解し、その対策を検討する必要があります。
4.地主口座に多額の地代収入が振り込まれる所得税対策。
(1) 支払地代相当額の借入が出来るかの問題点
土地を所有していても賃貸建物を所有していない場合、建物購入を金融機関からの借入資金で調達し長期分割で家賃収入から返済するため、家賃収入からの返済が可能か、他に賃貸物件等の資産を有しているか等が検討され借入に問題が生ずる可能性があります。
この場合権利金と賃貸建物を同時に寄付することも検討すべきです。
(2) 地主に対する多額の不動産所得税の問題点
地主は支払われた地代をそのまま管理会社に貸し付け、保険金として積み立てれば現実に地代収入が得られないにも係わらず、課税上は地代収入ありとして所得税が課せられます。相当地代収入が多額なため収入に対応する経費が少なければ所得税課税額が過大となる問題が生じます。地主に資金的な余裕があれば良いのですが、地代収入で生活費を賄う場合は全額を保険金の積立に回すことは無理です。
 ここでは、地主が自ら法人を設立し地主会社に土地を貸し付けます。更に地主会社は息子の管理会社に土地を転貸します。管理会社は地主会社に相当地代4,800万円を支払い、地主会社は地主に半分の2,400万円を支払います。地主は受け取った2,400万円の総てを管理会社に保険金支払いのため貸し付けます。
固定資産税等の税金支払い及び生活費は地主会社から必要なだけを地主は借入れます。相続時において地主の負債は金融機関からの借入金2億4千万円と地主会社からの借入金との合計となりますので相続税の課税は避けられるはずです。
又、これと同時に、同年度に地主所有の賃貸建物を管理会社に売却し、そこで欠損が生じることがあれば、地代収入との相殺が可能となります。

権利金受贈益;  4億8千万円 ①
損金合計額;
4,800万円×5年=2億4千万円(支払地代=借入金)  ②
2,400万円×5年=1億2千万円(支払保険金)   ③
受贈益課税額;
(①-(②+③))×32% = 1億4千万円×32%= 4,480万円
これに対し満期受取保険金は1億2千万円で課税額支払いと借入金一部返済に当てます。これに対し支払地代の全部2億4千万円を保険金支払いに回すことが出来るならば、受贈益課税額及び借入金の返済が殆どゼロとなることになります。但し保険金については積立金が予定額に近いほど節税効果大きいのですが果たして幾らぐらい調達できるか又、満期前に相続が発生した場合、解約すべきか否かの判断も重要な問題となります。
(3) 地主会社の設立
家賃収入と異なり、地代収入は経費が固定資産税等以外考え難く、地主に課せられる過大な所得税対策を検討する必要があります。
これには一定期間、個人地主を法人地主化する必要があると思います。具体的には地主が自ら地主会社を設立し、土地を直接息子の管理会社に賃貸するのでは無く、まず地主会社に土地を賃貸します。次に地主会社はその土地を息子の管理会社に転貸します。管理会社は相当地代4,800万円を地主会社に支払い、地主会社はその半分の2,400万円を地主個人に振り込みます。地主会社が土地を借りずに管理行為のみを行えば高すぎる管理料として否認されますが本件の場合、土地を幾らで転貸するかは原則任意であり管理会社が地主会社に相当地代額を支払うことは問題とはなりません。又、地主会社が固定資産税の3倍から4倍程度の地代を地主に払うことは無償返還届出方式では支払地代は当事者間の合意で決められるため問題とはなりません。管理会社が地主と借地契約を締結している場合、無償返還届出方式では土地の賃貸人を変更する届け出を税務署に連名で行う必要があります。
(4) 生命保険の問題点 
本件は法人が保険金を支払う場合に死亡時には法人が、満期には役員が保険金を受け取るパターンです。当該パターンに関する国税当局の規定はありません。本プランでは満期保険金の1/2相当分に対して一時所得(1/2課税)が適用できる点です。
本件逆ハーフタックスプランでは、法人においては保険料の1/2を支払保険料として損金計上し、残り1/2は満期保険金受取人が負担しているので給与として処理すれば法人においては給与は損金計上できるため、支払保険料の全額が法人においては損金処理出来ることとなります。
更に法人においては満期時及び解約時に益金課税されること無く、個人においては一時所得として軽減課税がされることとなります。(「受取保険額-給与相当額保険金(注)-50万円」×1/2に対し所得税率が適用される。)
(注);最高裁判決では満期保険金から控除できるのは全額で無く、自らが負担して支払った部分とされた。
本件についての税務通達等は未だ出されておらず、平成24年1月13日の最高裁判決が拠り所ですが、最高裁判決を無視する通達及び規定は作れないことから税務署は損金計上を否認するものではなく、国税当局に判断を仰ぎながら対応しているのが現状のようです。
支払保険金の1/2を損金計上できる場合においても社員全員の加入を原則として、(同族会社では全員加入の場合でも損金計上を認めず給与扱いする)容認するのが現在の税務当局の対応ですが、最高裁の判決文では「法人が契約者となり保険料を支払った養老保険契約」と記載されており特に社員全員が加入していることの記載ではありません。そうであれば現在の社員全員加入を条件として1/2の損金計上を容認する規定を改正する必要があるのかも知れません。
(5) 相続税に係る問題点
保険の満期乃至は中途解約時が契約時から5年以上ならば一時所得(1/2課税)となり、5年未満ならば給与所得(受取額の約20%程度の課税)となるため、ここでは5年満期の養老保険を前提とします。
満期受取額については会社役員が受け取ることで一時所得となり((4億8千万円-2億4千万円(給与と見なせる額))-50万円)×1/2に対し所得税が課税されます。
満期保険金の全部を地主に返還し、これを地主が金融機関に返済すれば地主の債務は無くなり相続財産から当該債務額は控除できません。又、地主が金融機関に返済せず自分の銀行口座に保管すれば相続財産に加算されることで相続財産が逆に増加します。
地主が管理会社に対し貸付金債権を放棄することで管理会社は受取保険金から当該受贈益課税額を支払い、残りを被相続人の子供である役員が相続して金融機関に返済します。
借入金残額は家賃収入からの返済で行います。法人に貸し付けた積立金額を満期で役員個人が受取り、個人地主に返済することは法人の返済には当たらず、再び役員が会社に貸し付け会社が個人地主に返済するというスタイルを繰り返すこととなります。法人と個人とが混乱しますが同族会社であるため同意が得やすく経理処理は容易なはずです。
5.不動産鑑定評価が相続人に味方できること
(1) 通常、権利金価格=更地価格(公示価格)×相続税路線価における借地権割合で査定しますがですが鑑定評価では直接に借地権価格を求められます。これにより金融機関からの借入金額を引き下げられますが権利金の評価を減額することで借地借家法に基づく借地権の設定が割安で行えます。更に相続時における底地価格を求め、相続税の土地評価を下げられます。
(2) 相続時において規模の大きな戸建用地の評価を下げられます。
面大地を分割して戸建用地とする場合は広大地評価が適用されますが、現実には市町村における開発行為が適用される土地の規模であっても物理的に道路を新設しなければ土地の細分化ができない場合でない限り、面大地評価の適用を国税当局は否認する可能性が極めて高いのです。当然裁判所の判例も国税当局を殆どの場合支持します。
 これに対し不動産鑑定士は不動産鑑定評価基準に基づき評価を行います。国税評価基準に規制されません。不動産鑑定評価基準では面大地の評価は広大地評価に類する「開発法に基づく評価」の適用を義務づけます。不動産鑑定評価基準に基づき適正な土地価格を求めているものを国税評価基準に比べ安いからという理由で税務当局が否認することは、国が定めた不動産鑑定評価制度自体を否認することとなります。
当社は25年以上相続税に係る不動産評価を行っていますが、未だ国税当局から評価額を否認されたことはありません。
6.企画書及び不動産鑑定評価作成に係る報酬について
(1) 依頼者が得る利益の15%です。但し報酬額が100万円に満たない場合は利益の20%となります。土地等については権利等の付着していない更地としての評価が報酬基準となります。尚、評価業務の履行があった後、依頼者が契約解除等を行う場合は業務進行度合いに応じて損害額は異なります。本件における評価は2度行います。生命保険契約に基づき権利金受贈益に係る借地権評価。これにより契約する保険金の積立額を決定します。
この場合、鑑定評価書ではなく企画書等の書式で提出します。満期保険金額の決定及び積立金の設定が行われます。具体的には支払保険金を金融機関借入で行うため金融機関に当該企画書を提出し借入可能額を知ることで契約すべき保険の種類や積立額を決めることとなります。企画書と鑑定評価書とを含めた報酬が上記報酬額の内訳となります。
従って依頼者が得る利益の15%の半分が保険契約時に、残額が保険金受け取り時に依頼者から当社に支払われることとなります。
(2) 報酬額は物件が2件あれば2件の物件に対応する報酬額が発生します。損害金に対する対応も同様です。税務評価の場合、評価を下げることは支払税額を下げることとなるため、直接に依頼者の利益に結びつきますが同時に不動産鑑定業者にすれば報酬額の低下に結びつきます。このように利益相反が生じる場合は依頼者が得る利益の15%(場合によっては20%)を基本として報酬額を設定しております。
7. 尚、当社は鑑定評価によって依頼者に損害を与えた場合、現実に発生した被害額につき1物件当たり3,000万円まで、通年で6,000万円までの損害保険に加入しております。鑑定評価書等の成果品を提示し、当社が報酬を受けた後に国税当局とのトラブルに対応するための保険です。
                                                  以上

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